関節リウマチで間質性肺炎になったらどうなる?|生活を立て直した50代女性の実例

息切れが増え、少しずつ生活が変わっていきました

関節リウマチは手や指の症状が出るというイメージが強いかもしれません。しかし、人によっては肺に障害が及ぶことがあり、歩くことやそれまでの暮らしを続けるのが難しくなることがあります。

息切れが続くようになった

以前より疲れやすくなった

外へ出るのがおっくうになった

このような変化によって、それまで当たり前だった暮らしを続けることが難しくなる方もいます。

今回ご紹介するのは、関節リウマチに間質性肺炎(肺に炎症や傷あとができ、息切れや咳が続きやすくなる病気)を合併し、入退院を繰り返しながらも生活を立て直していった沼田繭子さん(仮名・50代女性)の実例です。

この記事では病気の詳しい解説よりも、間質性肺炎によって生活がどのように変わり、どのように日常を整え直していったのかという過程をご紹介します。

なぜ関節リウマチで間質性肺炎になることがあるのでしょうか

関節リウマチは、関節だけでなく全身に影響を及ぼす病気です。

そのため、人によっては肺の組織に炎症が起こり、間質性肺炎を合併することがあります。

また、リウマチの活動性(病気の勢い)を抑えるための治療では、免疫の働きを抑える薬を使用することも多く、感染症への注意が常に必要になるという側面もあります。

すべての方に起こるわけではありませんが、関節リウマチと付き合っていくうえでは、関節の痛みだけでなく呼吸の変化にも注意しながら経過をみていくことが大切です。

間質性肺炎とは

間質性肺炎とは、肺で酸素を取り込む役割を担う「間質」と呼ばれる壁の部分に炎症や傷あと(線維化)が生じる病気です。

症状が進むと、

  • 少し歩いただけで息切れがする
  • 階段の上り下りがつらくなる
  • 咳が続く
  • 疲れやすくなる

といった変化がみられることがあります。

症状の進み方には個人差があり、長い時間をかけてゆっくり進行する方もいれば、何らかのきっかけで急激に悪化する場合もあります。

そのため、息切れが以前より強くなったと感じた時は、一人で我慢をせず、早めに主治医へ相談することが大切です。

沼田さんはどのような経過をたどったのでしょうか

沼田さんはもともと、関節リウマチの薬物療法(薬による治療)を受けながら症状をコントロールし、一人暮らしを続けていました。

しかし、その後に間質性肺炎を発症して入院治療が必要となりました。

ステロイド治療(強い炎症を抑えるまたは過剰な免疫の働きを抑える治療法)などによって一度は症状が落ち着き退院されましたが、

その後に自宅で転倒したことをきっかけに呼吸苦や動くことが難しくなり、間質性肺炎の増悪(急激な悪化)が認められて緊急入院となりました。

治療によって呼吸状態は一度改善し、外来でのフォローに移行しましたが、その後も発熱や関節痛の悪化がみられ、精査や治療のための入院を繰り返すことになります。

さらに、肺の炎症を抑えるパルス療法(強力な点滴治療)の予定期間中に炎症反応の高値が続き、抗生剤による治療が行われるなど、思うように自宅へ帰れない時期が続きました。

間質性肺炎による呼吸苦や入退院の影響もあり、体力や脚の筋力は少しずつ低下していきました。

息切れだけではありません。

長期間にわたる安静期間や度重なる加療は歩く力にも影響し、活動量は徐々に減少していきました。

訪問看護が導入された時期には、四肢の痛みも重なって自宅内では車椅子を使用する時間が増えていました。

なぜリウマチ治療が難しくなったのでしょうか

間質性肺炎を合併すると、関節リウマチの治療はより慎重な判断が必要になることがあります。

沼田さんの場合も、肺の炎症を抑えるためのステロイド治療を行う一方で、免疫力が低下することによる感染症のリスクが常に隣り合わせの状況でした。

その後も、朝からの発熱や両膝の強い痛みによって受診した際、細菌が血液の中に入り込み全身に広がる「菌血症」の発症が認められ、腎機能低下の加療も兼ねて即時入院となっています。

こうした感染症の併発が起こると、それまでの治療内容を一時的に見直したり、薬の調整を遅らせたりせざるを得ない局面が出てきます。

思うようにリウマチ自体の治療を進められない時期があることは、ご本人にとっても焦りにつながりやすいものです。

病気そのもののつらさだけでなく、

「今日は息を切らさずに動けるだろうか」

「少し動いただけで苦しくなったらどうしよう」

という先々の不安が重なり、生活の範囲は少しずつ狭くなっていきました。

少しずつ生活を立て直していきました

退院して自宅に戻ったからといって、すぐに以前と同じように動けるわけではありません。

例えば沼田さんは「息が切れるのが怖いから今日は掃除をやめておこう」と話されることがありました。

一方で、何日も動かずにいると体力はさらに低下してしまいます。そのため私たちは、「どこまでなら無理なく動けるか」を一緒に確認しながら、その日の生活量を考えていきました。

体調が安定している日は、呼吸が乱れない範囲を確かめながら家の中を少し長く歩いてみる。

疲れや息切れを自覚しやすい日は、無理に動かず、しっかりと休息をとる。

その日の身体の状態に合わせて活動量を調整しながら、少しずつ生活のリズムを取り戻していきました。

その後、股関節の障害(大腿骨頭壊死)に対する手術やリハビリも経て、自分で台所に立って料理をしたり、買い物へ出かけたり、お孫さんのお世話をしたりと、一人暮らしに必要な動作を少しずつ安全に再開できるようになっていきました。

股関節の経過や術後の生活については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

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間質性肺炎と付き合いながら生活を続けるために

間質性肺炎を合併している場合は、病気そのものを完全になくすことだけを目標にするのではなく、日々の変化にいち早く気づき、適切に対処していくことが大切です。

例えば、次のような心がけが生活を支える力になります。

  • 定期的に外来を受診し、診察や検査で呼吸状態を確認してもらう
  • 免疫力の低下に備え、手洗いやうがいなどの感染予防を心がける
  • 息切れや疲労感が強い日は、予定を詰め込みすぎず休息を優先する
  • 「いつもより苦しい」「熱がある」と感じたら、我慢せず早めに訪問サービス担当者や主治医へ相談する
  • その日の体調に合わせて家事や外出などの活動量を調整する

無理をして頑張り続けることだけが良いわけではありません。

自分の身体が発するサインを無視せず、その日の体調に合わせて生活の強さを調整することも、一人暮らしを続けるための大切な工夫です。

理学療法士として感じたこと

間質性肺炎と診断されると、

「息切れをするのが怖いから、できるだけ動かない方がいい」

と活動を極端に控えてしまう方も少なくありません。

もちろん、間質性肺炎が急激に悪化している時など、呼吸状態が著しく悪い場合には医師の指示による安静が最優先です。

しかし、過度な不安から必要以上に動かない生活を続けてしまうと、筋力や体力が低下し、さらに少しの動作でも息切れしやすくなるという悪循環につながることがあります。

私が沼田さんの支援に関わる中で改めて強く感じたのは、「生活を続けるための努力」と「身体を無理に追い込むこと」は別物だということでした。

体調が良い日には、その日の身体に合わせた活動を行う。

疲れや息切れが強い日は、周囲の力を借りながらしっかり休む。

その積み重ねが、住み慣れた家での暮らしを続ける力につながっていたのだと思います。

まとめ

関節リウマチに間質性肺炎を合併すると、息切れや度重なる入退院による体力低下によって、それまでの生活の形は大きく変わることがあります。

沼田さんも、入退院を繰り返す中で、一時は自宅内でも車椅子を使用する時間が増えていました。

それでも、その時々の身体の状態を受け止めながら、医療や介護の支援を受け、暮らし方を少しずつ整え直してこられました。

間質性肺炎のような長く付き合っていく病気があっても、以前とまったく同じ生活に戻ることだけが目標ではありません。

病状や体力の変化に合わせながら、その時の自分に合った暮らし方を少しずつ整え直していく。

沼田さんの歩みは、生活再構築とは一度だけのものではなく、その時々の身体と向き合いながら何度でも続けていけるものだということを教えてくれました。