膝の手術後、
「膝がまっすぐ伸びない」
「仰向けに寝ると膝の裏が浮く」
「立つと膝が曲がったままになる」
「膝を伸ばそうとすると、膝の裏が痛い」
と感じることがあります。
この記事で扱うのは、膝を曲げる方向の制限ではなく、膝がまっすぐ伸びない「伸展制限」です。
膝の伸展は、立った状態で体重を支えるときに使います。
伸びにくさが残ると、立位で膝が曲がった姿勢になり、太ももの前に力が入り続けたり、長く立ったときに疲れやすくなったりします。
この記事では、膝の手術後に伸びにくくなる原因、確認したい症状、リハビリ、相談を考えたい変化について説明します。
膝を曲げる方向に困っている方は、総合解説をご覧ください。
▶︎ [膝の手術後に曲がらない原因と対処法を詳しく読む]
※この記事は一般的な情報を整理したものです。個別の診断や運動方法は、主治医や担当療法士に確認してください。
膝が伸びないとはどのような状態か
膝が伸びない状態では、膝関節をまっすぐにしようとしても、わずかに曲がった位置で止まります。
次のような場面で気づくことがあります。
- 仰向けに寝ると膝の裏が床から浮く
- 立ったときに片方の膝が曲がっている
- 膝裏に張りや痛みを感じる
- 片脚に体重を乗せにくい
- 太ももの前が疲れやすい
- 長時間立っているとつらい
- 坂道や階段で不安定に感じる
伸展角度は、療法士が関節可動域として測定します。
自分で脚を伸ばしたときの角度と、療法士が支えて動かしたときの角度が異なる場合もあります。
なぜ膝の伸展が立位に影響するのか
膝を伸ばした状態では、下肢で体重を支えやすくなります。
膝が曲がったまま立つと、大腿四頭筋などが姿勢を保つために働き続けます。
そのため、わずかな伸展制限でも、次の状態につながることがあります。
- 立っていると太ももが疲れる
- 手術した脚に体重を乗せにくい
- 身体が前かがみになる
- 反対側の脚へ体重を逃がす
- 膝裏や太ももの前に負担を感じる
歩行への影響を詳しく確認したい方は、歩行専門の記事をご覧ください。
▶︎ [人工膝関節の手術後にうまく歩けない原因を詳しく読む]
膝の手術後に伸びにくくなる主な原因
手術後には、膝関節の周囲に腫れが生じます。
腫れがあると、膝を伸ばすときに次の感覚が出ることがあります。
- 重い
- 張る
- 詰まる
- 動かしにくい
膝裏や関節周囲の腫れによって、まっすぐにする動きが制限される場合もあります。
膝を伸ばしたときに膝裏が痛むと、身体は痛みが出る手前で動きを止めます。
痛みを繰り返すうちに、膝を少し曲げた姿勢が続くことがあります。
無理に伸ばした後に痛みが強くなる場合は、運動の方法や強さを担当者に確認してください。
大腿四頭筋は、膝を伸ばす動きや、立位で膝を支えるときに働きます。
術後は、腫れや痛みの影響によって大腿四頭筋が働きにくくなることがあります。
膝の下にタオルを入れて押しつぶす運動は、大腿四頭筋を使う感覚を確認する方法の一つです。
筋肉そのものの力が低下している場合のほか、力を入れるタイミングが合わない場合もあります。
痛みがあると、膝を少し曲げた姿勢を取りやすくなります。
寝ているときに膝の下へ枕を入れ続けたり、座っている時間が長かったりすると、膝を伸ばす時間が少なくなる場合があります。
ただし、術後の安静姿勢やクッションの使い方には個別の指示があります。
自己判断で姿勢を変更せず、担当者に確認してください。
手術前から膝が伸びず、曲がった姿勢で立っていた方は、その姿勢に身体が慣れています。
手術によって関節の状態が変化しても、筋肉の長さや身体の使い方がすぐに変わるわけではありません。
術前からの伸展制限や歩き方を踏まえて、術後の目標が決められます。
膝の伸び方は、膝関節だけで決まるものではありません。
立位で股関節が曲がり、身体が前かがみになっていると、膝も曲がりやすくなります。
足首の動きや骨盤の位置によっても、膝へかかる力が変わります。
膝を伸ばす練習を続けても変化が乏しい場合は、立ち方や身体の位置も確認します。
【実例】膝裏の痛みが続いた60代女性
ある60代の女性は、長く左膝の痛みを抱えた後、左膝の人工膝関節全置換術を受けました。
退院から数週間が経過しても、次の症状が続いていました。
「膝をまっすぐ伸ばそうとすると、膝の後ろが痛い」
膝の動きを確認すると、伸展制限がありました。
膝そのものに対する練習は行われていましたが、強く伸ばそうとすると痛みが増えやすい状態でした。
立位や動作を確認すると、左膝を少し曲げたまま体重を支えていました。
股関節と足首の動きも小さく、身体を前後に揺らしながら前へ進んでいました。
そこで、膝の伸展練習とともに、次の点を確認しました。
- 殿筋の働き
- 体幹の安定
- 股関節と足首の使い方
- 立位での身体の位置
- 左脚への体重の乗せ方
これらを見直す中で、動作に変化がみられ、膝裏の痛みはなくなっていきました。
この症例では、膝をどの位置で使っているかを含めてリハビリを組み立てました。
痛くても膝を伸ばした方がよいのか
伸展可動域を保つために、膝を伸ばす練習が行われることがあります。
ただし、強い痛みを我慢して長時間伸ばし続ける方法が、すべての方に合うわけではありません。
運動後に次の状態がみられる場合は、担当者へ相談してください。
- 膝裏の痛みが強くなる
- 腫れや熱感が増える
- 翌日も痛みが残る
- 立ちにくくなる
- 動作が前より不安定になる
自宅で行う場合は、姿勢、時間、回数、強さを具体的に確認します。
膝の伸展制限に対して行われるリハビリ
寝た状態や座った状態で、膝を伸ばす方向へ動かします。
膝の下や踵に置くタオル、クッションの位置によって、膝への力が変わります。
担当者から指示された方法で行います。
膝の下に置いたタオルを押す運動などで、大腿四頭筋を使う感覚を確認します。
膝だけに強い力をかけず、呼吸を止めないように行います。
殿筋などを使い、立位で骨盤や股関節を支える練習を行います。
股関節を伸ばしやすくなると、膝も伸ばした位置で使いやすくなる場合があります。
手術した脚に体重を乗せ、膝をどの位置で支えているか確認します。
膝が曲がったままになっていないか、反対側へ逃げていないかを見ます。
寝る姿勢、椅子に座る時間、足の置き方などを確認します。
リハビリの時間以外に、膝を曲げた姿勢が長く続いていることもあります。
相談を考えたい変化
次の状態がある場合は、主治医や担当療法士への相談を考えてください。
- 一度伸びるようになった後、再び伸びにくくなった
- 腫れや熱感が増えた
- 強い痛みがある
- 膝裏の痛みが悪化している
- 以前よりまっすぐ立ちにくい
- 脚に体重を乗せにくくなった
- 転倒や外傷後に状態が変わった
- 自宅で行う運動方法がわからない
急な変化や強い症状がある場合は、早めに医療機関へ連絡してください。
まとめ
膝の手術後に伸びにくくなる背景には、腫れ、膝裏の痛み、大腿四頭筋の働き、術前からの伸展制限、立位姿勢などがあります。
膝の伸展は、立った状態で体重を支える機能に関係します。
膝を伸ばす練習だけで変化が乏しい場合は、股関節、足首、体幹、荷重の仕方も確認します。
膝を曲げる方向の制限や、手術後の歩きにくさについては、それぞれの記事で詳しく説明しています。
▶︎ [膝の手術後に曲がらない原因と対処法を詳しく読む]
▶︎ [人工膝関節の手術後にうまく歩けない原因を詳しく読む]
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