「腰の筋肉を押すと痛みがある」
「朝起き上がるときや、動き始めに腰の筋肉が張って痛む」
「長時間同じ姿勢でいた後に動こうとすると腰が固まっている」
といった症状に悩まされていませんか?
このように、特定の骨や関節ではなく、腰の筋肉やそれを包む膜(筋膜)に負担がかかることで生じる腰痛を筋筋膜性腰痛(きんきんまくせいようつう)と呼びます。
この記事では、筋筋膜性腰痛が起こる仕組みや主な症状の特徴、診察やリハビリの全体像について解説します。
※なお、急激に足の筋力が落ちて力が入らない場合や、排尿・排便の異常(尿が出にくい、漏れてしまうなど)を伴う場合は、緊急性の高い病態(骨折、感染、腫瘍、馬尾症候群、内臓疾患など)が疑われます。その場合は自己判断を避け、速やかに医療機関を受診してください。
筋筋膜性腰痛とは?
まずは、筋筋膜性腰痛の基礎知識について確認していきましょう。
筋筋膜性腰痛は、腰周りの筋肉や筋膜に過度な負担がかかり、痛みが引き起こされる状態です。
特定の骨の骨折や明らかな神経圧迫とは異なり、筋肉やその周囲の組織に負荷が集中することが主な要因となります。
筋膜とは、筋肉を包み、周囲の組織とつながって体を支える膜状の組織です。筋肉が滑らかに動くためにも重要な役割を担っています。
筋肉や筋膜に負担が集中すると、動かした際や押したときに痛みが現れることがあります。
なぜ腰の筋肉が痛くなるのか?
筋・筋膜に痛みが現れる代表的な要因について解説します。
デスクワークや立ちっぱなしなど、長時間の同一姿勢や偏った姿勢を続けると、腰の筋肉が緊張した状態が維持されます。
これにより筋肉や筋膜へ持続的な負担がかかり、痛みにつながることがあります。
重い荷物を持ち上げる作業の繰り返しや、普段行わない急な運動・動作によって、腰の筋肉や筋膜に急激な過荷重が加わり、組織に負担がかかることがあります。
日常生活や運動による疲労が十分に回復しないまま負荷が蓄積すると、筋肉や筋膜へ負担が蓄積し、痛みが誘発されやすくなります。
筋筋膜性腰痛の主な症状と特徴
筋筋膜性腰痛では、次のような症状がみられることがあります。ご自身の状態と照らし合わせてみてください。
腰の筋肉を指で押した際に、局所的な痛み(圧痛)を感じるのが特徴的です。
じっとしていた状態から体を動かし始めるときや、姿勢を変える瞬間に、腰の筋肉が突っ張るような痛みや固まる感覚が出現することがあります。
腰全体や一部の筋肉に張り感を生じます。動いているうちに少し楽になる場合もありますが、個人差や状態による違いがあります。
※症状の現れ方には個人差があり、これらの特徴だけで病態を断定することはできません。
他の腰痛(椎間板性・椎間関節性・ヘルニア)との違い
腰の痛みを生じる代表的な疾患との違いについて、簡潔に整理します。
- 椎間板性腰痛との違い:
椎間板性腰痛は主に体を前に曲げる(前屈)動作や座り姿勢で痛みが強まるのに対し、筋筋膜性腰痛は特定の筋肉や筋膜への負担、押したときの痛みや動作開始時の痛みが特徴です。 - 椎間関節性腰痛との違い:
椎間関節性腰痛は背骨の後ろ側にある関節に負担がかかるもので、主に体を後ろに反らす動作や立ち姿勢で痛みが強まる違いがあります。 - 腰椎椎間板ヘルニアとの違い:
腰椎椎間板ヘルニアでは、腰痛に加えてお尻から足にかけての鋭い痛みやしびれ、筋力低下などの神経症状を伴うことが多く見られます。
筋筋膜性腰痛のリハビリ評価の進め方
医療機関を受診した際に行われる一般的な確認手順です。
どのような姿勢や動作で痛むか、生活や仕事での負担環境を詳しく確認します。身体診察では、腰の筋肉を押して痛む場所があるかや、動かした際の痛みの出方を確かめます。
必要に応じてレントゲン(X線)検査などが行われます。MRIなどで「骨や神経に異常がない」と診断されることもあり、筋筋膜性腰痛の可能性を考えます。
筋筋膜性腰痛の治療とリハビリ
筋筋膜性腰痛では、状態に応じた適切な対応と動きの改善を組み合わせて経過をみていきます。
痛みが強い時期には、無理な動作を避け、痛みの程度に応じた対応が選択されます。
理学療法では、姿勢や動作、筋肉や関節の働きを確認し、身体の使い方を見直し、筋肉や筋膜へ過度な負担が集中しないよう支援します。
まとめ
筋筋膜性腰痛は、筋肉や筋膜へ負担が集中することで生じる腰痛の一つです。特に筋肉を押したときの痛みや動き始めの違和感が現れやすい特徴を持ちます。
腰への負担を減らして生活を続けるためには、特定の姿勢や動作で無理を重ねないようにしつつ、身体の使い方や負担のかかり方を整えていくことが大切です。
動き始めの痛みや、筋肉を押したときの痛みが続く場合は、自己判断せず整形外科やリハビリテーションの専門職へ相談してください。症状が長く続く場合や日常生活に支障がある場合は、原因を整理するためにも医療機関で相談することが大切です。
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