このサイトは、難病になってしまった理学療法士(と、仲間の作業療法士)が運営していきます。
朝起きたら、手が動かない。
手のひらに、細くとがった針金を丸めたものが埋め込まれているみたいだ。
指を広げると激痛が走るので、動きを止めて一呼吸をおく。
すると、首や足先もろくに動かないことにも気づく。
この日々はいつまで続くのだろうか。ずっと続くのだろうか……
健康だったころがなんと幸せだったことか。
どこも痛くないって、なんてありがたい毎日だったのだろうか……
そんな、突如嘆きはじめた私は、理学療法士である。
キャリアは脳神経外科から始まり、内科、神経内科、循環器、呼吸器、整形外科、精神科、などの病院勤務 、そして健常者への自費診療、包括支援センターでの介護予防事業、訪問看護ステーションでの訪問リハビリ・・・と、順調に効果的にキャリアを積んできたほうだと思う。
理学療法士国家試験合格後から頑張ってきたことに、自信満々であった。
しかし、去年、突然の高熱と全身の痛みに倒れ、休養を余儀なくされた。
この病気のことについては、機会があれば改めて記録していきたいと思う。
私は、何よりも真っ先に、
自分が動けなくなってみて初めて、他人の苦しい立場をろくに理解せずに、
偉そうに他人に指南していた20年弱もの間の自分を、恥ずかしいと思った。
恥ずかしいし、悲しい。
病気や怪我を患った人に対し、私がかけていた言葉は、態度は、さぞかし雑だっただろう。
ある時は、リウマチやパーキンソン病の方に『性格や精神的な面もあって活動にムラがある』と評価してみたり、
脳梗塞片麻痺で100m歩くのがやっとな銀行マンの方に『羞恥心もあるようでなかなか職場へ行く気にならないようだ』と推測してみたりした。
実際に、その内容を本人や家族にそのまま伝えたことも多々、ある。
そして、ある精神疾患の青年にはこう言った。
『いまどき、なにも無理に仕事を探さなくても、ブログとか初めてみたら?』
いやいや。アンタ、ちょうどいま病気になってのたうち回ってるんだから、簡単にやれることならやってみろよ!!
と思わず自分に突っ込んでしまった。
このサイトは、このようないきさつで開設された。
理学療法士としての過去の自分への贖罪の気持ちが土台にある。
うまく伝わるかはわからないし、挫折するのが怖いが、
20年弱の現場経験の中で、本当に良かった役に立った、と思うことを、記憶をたぐり寄せてまとめていきたいと思う。
そして、私の助言ごときは軽く飛び越えて、自らの努力で個性的(ユニーク、unique)な生活を創り上げていった方々のように、私も成長したい。
2023年12月 Black Trio