膝の手術を受けたあと、
「思ったより膝が曲がらない」
「このまま固まってしまうのではないか」
「もっと頑張って曲げた方がよいのだろうか」
「病院に相談するほどの状態なのかわからない」
と不安になることがあります。
「膝が曲がらない」という言葉には、いくつかの状態が含まれています。
- 曲げると痛くなり、途中で止まる
- 腫れて重く感じる
- 動かそうとすると身体に力が入る
- 寝ている状態では曲がるが、立ち上がりや階段では使いにくい
- 角度は改善しているが、生活の中では困っている
- 一度よくなった後、再び動かしにくくなった
手術からの時期、腫れや痛み、術前の状態、筋力、身体の使い方などによって、確認すべき点が変わります。
この記事では、膝の手術後に曲がりにくくなる主な原因、時期による違い、屈曲角度の考え方、リハビリ、受診を考えたい変化について整理します。
膝を伸ばす方向に困っている方や、角度が改善した後も歩きにくい方は、それぞれの専門記事をご覧ください。
※この記事は一般的な情報を整理したものです。個別の診断や治療方針は、主治医や担当療法士に確認してください。
膝の手術後に「曲がらない」と感じる状態
膝を曲げる動きは、日常生活のさまざまな場面で使います。
- 椅子に座る
- 椅子から立ち上がる
- トイレを使う
- 車に乗り降りする
- 階段を上り下りする
- 靴下や靴を履く
必要な角度は、動作や身体の大きさ、椅子の高さ、住環境によって変わります。
そのため、「何度まで曲がればよいか」という数字とともに、現在どの動作で困っているかを確認します。
膝がまっすぐ伸びない状態については、以下の記事で詳しく説明しています。
▶︎ [膝の手術後に膝が伸びない原因を詳しく読む]
まず確認したいのは、手術からどのくらいたっているか
膝の曲がりにくさを考えるときは、手術からの時期を確認します。
手術直後と、数週間から数か月が経過した後では、身体の状態が異なるためです。
手術直後は、膝の周囲に腫れ、熱、痛みが生じやすい時期です。
膝が腫れると、関節を動かすときに重さや詰まりを感じることがあります。
痛みを予測して、太ももや膝の裏に力が入ることもあります。
本人は膝を曲げようとしていても、身体が無意識に動きを止めている状態です。
「曲げ方がわからなくなった」
「力を抜こうとしても抜けない」
と感じる方もいます。
この時期は、術後の炎症や創部の状態を確認しながら、医療者の指示に沿って運動を進めます。
手術後数週間から数か月が経過すると、初期の炎症が落ち着いてくる方が増えます。
その一方で、次の状態が残ることがあります。
- 腫れが長引いている
- 痛みに対する警戒が続いている
- 太ももの筋力が回復していない
- 動かし方の癖がついている
- 運動後に痛みや腫れが増えている
- 術前から膝の動きが制限されていた
手術前に長く痛みを抱えていた方は、膝をかばう動作が身についていることがあります。
関節の状態が手術によって変化しても、身体の使い方がすぐに切り替わるとは限りません。
順調に動くようになっていた膝が、再び曲がりにくくなった場合は、経過を確認する必要があります。
- 腫れが増えた
- 熱感が強くなった
- 痛みが増えた
- 急に動かしにくくなった
- 転倒やひねった出来事があった
- 以前より曲げることが怖くなった
このような変化がある場合は、自己判断で運動量を増やさず、主治医や担当療法士に相談してください。
膝の手術後に曲がりにくくなる主な原因
手術後の膝には腫れが生じます。
腫れが強いと、関節を物理的に動かしにくくなります。
見た目には大きく腫れていなくても、本人は次のように感じることがあります。
- 膝が重い
- 中が詰まっている
- 曲げると圧迫される
- 動かした後に張る
腫れによって痛みが生じると、身体が膝を守るように緊張します。
その結果、さらに動かしにくくなることがあります。
膝を曲げたときに強い痛みを経験すると、次に動かすときにも身体が警戒します。
本人が「曲げよう」と考えていても、太ももや膝の裏に力が入ります。
療法士が膝を動かそうとしたときに、身体が反射的に抵抗する場合もあります。
この反応は、本人のやる気の不足によるものではありません。
膝を守るために起きている身体の反応です。
手術後は、太ももの前にある大腿四頭筋などが働きにくくなることがあります。
寝た状態では膝を曲げられても、立ち上がりや階段ではうまく使えない方もいます。
この場合、関節の角度とともに、体重を支える力や動作の中で筋力を発揮できているかを確認します。
手術前の膝の状態は、術後の経過にも影響します。
長期間にわたって痛みが続いていた方や、手術前から曲がる範囲が狭かった方は、術後の開始時点が異なります。
手術前から続いていた筋力低下や身体の使い方も、術後に残ることがあります。
膝を使う動作には、股関節、足首、体幹も関わります。
立ち上がりや階段では、膝の角度だけを使っているわけではありません。
- 股関節を十分に曲げられるか
- 足首を動かせるか
- 身体を前へ移動できるか
- 手術した脚へ体重をかけられるか
- 左右の脚をどのように使っているか
こうした動きによって、膝の使いやすさも変わります。
歩行そのものに困っている方は、以下の記事をご覧ください。
▶︎ [人工膝関節の手術後にうまく歩けない原因を詳しく読む]
膝の屈曲角度は何度あればよいのか
手術後のリハビリで、「120度を目指しましょう」と説明されることがあります。
目標角度は、手術内容、術前の状態、経過、医療機関の方針などによって異なります。
確認したいのは、測定した角度と、生活上の困りごとの両方です。
同じ屈曲角度でも、困る動作は人によって異なります。
- 自宅の椅子が低い
- 和式の生活が多い
- 階段を使う必要がある
- 車の乗り降りが多い
- トイレの高さが合わない
角度の数字だけを比べるのではなく、どの動作が難しいのかを担当者に伝えると、リハビリの目標を整理しやすくなります。
痛くても頑張って曲げた方がよいのか
術後のリハビリでは、関節可動域練習が行われます。
ただし、痛みや腫れが増えている状態で、自己判断により強く曲げ続けることには注意が必要です。
運動後に次の変化がないか確認します。
- 痛みが長く残る
- 腫れが増える
- 熱感が強くなる
- 翌日に動かしにくくなる
- 歩行や日常動作が悪化する
必要な運動量や許容できる痛みの範囲は、術後の時期や身体の状態によって異なります。
担当療法士に、自宅で行う運動の回数、強さ、休み方を確認してください。
膝を曲げるために行われるリハビリ
実際の内容は個別に決められますが、次の方法が用いられることがあります。
術後初期には、膝の状態を確認しながら冷却や休息を取り入れます。
医療機関から指示された方法や時間を守って行います。
座った状態や寝た状態で、自分の力を使って膝を曲げ伸ばしします。
無理に反動をつけず、指示された範囲で行います。
太ももの前、お尻、ふくらはぎなど、立つ・歩く動作に関わる筋肉を練習します。
状態に応じて、立ち上がり、スクワット、段差昇降などを行います。
関節の動きを、実際の生活動作につなげるための練習です。
椅子、階段、トイレ、車の乗り降りなど、実際に困っている動作を担当者へ伝えます。
必要な膝の動きや、環境の調整方法を検討します。
膝が曲がりにくかった65歳女性の実例
右膝の人工膝関節全置換術を受けた65歳の女性は、術後初日から膝裏の痛みと強い怖さを感じていました。
膝を曲げようとすると筋肉が緊張し、「勝手に身体が拒否する」と話していました。
術後3週までは、炎症症状を確認しながら、冷却、足首運動、軽い膝の曲げ伸ばしを行いました。
その後、筋力トレーニング、段差昇降、スクワットへ進みました。
術後3か月には、孫とブランコに乗ったときに「膝が自然に曲がる感じ」を自覚しています。
その後、スーパーまで歩いて行けるようになりました。
▶︎ [人工膝関節術後に膝が曲がりにくかった65歳女性の改善実例を読む]
主治医や担当療法士への相談を考えたい変化
次の変化がみられた場合は、主治医や担当療法士へ相談してください。
- 痛みが急に強くなった
- 腫れや熱感が増えた
- 一度改善した後に悪化した
- 急に動かしにくくなった
- 転倒や外傷の後から状態が変わった
- 自宅で行う運動の強さがわからない
- 不安が強く、運動を続けられない
定期受診やリハビリが終了している場合も、手術を受けた医療機関に相談できます。
受診が難しい場合は、膝関節の診療を行っている医療機関へ、診察の可否や必要な紹介状について問い合わせる方法もあります。
まとめ
膝の手術後に曲がりにくくなる背景には、術後の腫れ、痛みへの警戒、筋肉の働き、術前の状態、身体の使い方などがあります。
手術直後なのか、数か月経過しているのか、一度改善した後に悪化したのかによって、確認する内容も変わります。
屈曲角度は回復を確認する一つの指標です。
同時に、椅子からの立ち上がり、トイレ、階段、車の乗り降りなど、生活のどこで困っているかを整理します。
膝を伸ばす方向に困っている方、角度が改善しても歩きにくい方、実際の回復経過を知りたい方は、それぞれの記事をご覧ください。
▶︎ [膝がまっすぐ伸びない原因を詳しく読む]
▶︎ [膝は曲がるのに歩きにくい原因を詳しく読む]
▶︎ [膝が曲がりにくかった65歳女性の改善実例を読む]
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