はじめまして。 このサイトは、ある日突然、難病を患った理学療法士と、その仲間の作業療法士のチームで運営しています。
ここでは、約20年にわたって勤めてきたリハビリテーション(以下、リハビリ)の臨床現場と、自らの闘病経験を通して見えてきた、身体・メンタル・暮らし・健康を整えるために、本当に役に立ったことを完全実話ベースで記録していきます。
なぜ、私たちがこのブログを始めたのか。 その理由を、少しだけお話しさせてください。
私は、理学療法士として順調にキャリアを積んできました。脳神経外科に始まり、内科、整形外科、精神科、訪問リハビリまで、様々な現場を経験し、国家試験に合格してからずっと、自分の仕事に自信を持っていました。
しかし、そんな自信は、もろくも崩れ去ることになります。
ある朝、目が覚めると、手が動きませんでした。
手のひらに、細く尖った針金を丸めたものが埋め込まれているような、激しい痛み。指を広げようとすると激痛が走り、一呼吸おくと、今度は首や足先も動かないことに気づくのです。
(この日々は、いつまで続くのだろうか。いや、ずっと続くのかもしれない……)
健康だった頃が、どれほど幸せだったことか。どこも痛くない毎日が、どれほど有り難いことだったのか。そんなことを、ただ嘆くしかありませんでした。
自分が動けなくなって初めて、私は気づきました。 これまでの約20年間、自分は他人の苦しみを本当の意味で理解せず、どれほど偉そうに、そして無神経にアドバイスをしてきたのだろうかと。
過去の自分が、恥ずかしくて、悲しくて、たまりませんでした。
リウマチの方に「性格的にムラがある」と評価したり、脳梗塞で歩行が困難な方に「羞恥心で職場に行きたがらない」と推測したり。
私は、専門家という威を借りて、そんな言葉を平気で本人やご家族に伝えてきたのです。
そして、ある精神疾患を抱える青年には、こう言いました。
「いまどき、無理に仕事を探さなくても、ブログとか初めてみたら?」と。
あの時の言葉が、今、自分に突き刺さります。
「いやいや、アンタ。人にあんな偉そうなことを言って、いま病気でのたうち回ってるんだから、簡単にやれるものならやってみろよ!!」
思わず、自分自身にそう突っ込んでしまいました。
このサイトは、こんないきさつで生まれました。その土台にあるのは、理学療法士としての過去の自分への、贖罪の気持ちです。
この想いがうまく伝わるかは分からず、途中で挫折するかもしれません。それでも、私がこれまで出会い、自らの力で個性的(unique)な生活を創り上げていった方々のように、私も成長したいと願っています。
このブログが、かつての私のように、そして今の私のように、心や身体の不調に苦しむ誰かの小さな光になれば、これほど嬉しいことはありません。
2023年12月 Black Trio